~口腔がんで亡くなる方をゼロにするために~
顎顔面口腔腫瘍外科学分野は、令和4年11月に、「口腔腫瘍の治療と教育研究を充実させ、東北地方の臨床・教育・研究の中心となる」ことを目的に、これまでの顎顔面・口腔外科学分野から独立しました。口腔腫瘍というと、珍しいと思われるかもしれません。しかし、口も顎も体の一部ですから、「がん」を含め様々な腫瘍が発生し、健康を脅かします。
特に口腔がんは、食事や呼吸といった人間の最も日常に行っている機能を奪い、命の危険をもたらす重大な疾患です。残念ながら東北地方は日本の中でも、口腔がんで亡くなる方が多い地域です。私たちの分野は、「口腔がんで亡くなる方をゼロにする」ために早期発見と予防の概念を取り入れた臨床と研究を行ってまいります。
~東北地方から日本全国に・そして世界へ~
私たちはこうした動きを礎に「口腔がん発見の東北モデル」を作り上げようと考えています。私は「大学の研究はいつか人のために役立つためのもの」と信じて治療も研究も行ってまいりました。東北モデルを作り上げるには、住民の皆さんの関心と研究者の参加が必要です。アジアの国々では口腔がんが多発している国も多く、早期発見もままならない国もあります。私たちは東北モデルを世界に向けて発信したいと考えています。そのために、このホームページをはじめとして多くの情報発信を行ってまいります。どうぞご期待ください。
~人のためになる研究をすることは素晴らしい~
私たちは若い研究者の参加を求めています。日本では大学卒業後に研究をする学生が減少する傾向にあります。時代背景なのかもしれません。しかし、自分の研究が例えば発明や実用化となり、患者さんの手元に届いたらどうでしょうか?こんな夢のある仕事はないのではないでしょうか。私たちの分野は臨床の分野です。患者さんのニーズを研究に引き上げ、患者さんにお返しする。こんな夢のあることを進めていきたいと思います。私たちの分野のドアは常に開いています。どうぞ気軽に覗きにきてください。
杉浦 剛
この度、歯学研究科顎顔面口腔再建外科学分野の教授、および東北大学病院歯科顎口腔外科(形態機能グループ)の科長になりました山内健介です。口腔外科領域の中でも、発育異常を含めた歯科口腔疾患に対しての治療を行い、特に形態的異常と顎顔面口腔機能障害に対する治療を担当し、それに関連する研究・教育を担当しています。
われわれは疾患に対する診断、治療を行うのみならず、各診療グループを中心に先端的治療の探索と治療結果の集積、さらに治療成績を反映した次世代治療の展開をはかっています。また、それらの診療を通して、高度先進医療技術と知識を持った口腔外科専門医の育成と、世界基準の研究マインドをもち、常に臨床へのフィードバックを念頭にした若手口腔外科医および教育的指導者の育成を目指しています。
顎・口腔領域は、摂食、発音、嚥下、審美といった要素を持つ領域であるため、治療による影響を最小限に抑え、患者さんのQOL回復をはかるために、顎顔面口腔再建治療部、歯科インプラントセンターなどの歯科部門内の連携はもちろんのこと、がん治療での頭頸部キャンサーボードへの参加、嚥下治療センター、唇顎口蓋裂センターなどとも連携しています。
また、宮城県内や東北圏内の医療機関との連携も充実しており、手術後の経過観察やリハビリテーションを地域病院歯科口腔外科や一般歯科医院でも行えるように努めています。これは遠方からの通院回数を減らし、さらに地域の医療提供体制を強化する目的があり、将来的にはIoT技術を応用した遠隔医療にも積極的に取り組む所存です。
顎口腔領域の疾患治療と機能回復を通して、地域医療の充実化をはかるとともに、優れた口腔外科専門医・教育者・研究者の育成をはかり、東北地域の口腔外科医療の下支えとなれるように努めていきます。
山内 健介
※受付を挟んで両隣に入口1・2がありますのでご注意ください。